教授あいさつ
慶應義塾大学医学部耳鼻咽喉科・頭頸部外科学教室のホームページをご覧いただきありがとうございます。当教室は、1920年の小此木修三先生の赴任に始まり、2020年には100周年を迎えた歴史のある教室です。
耳鼻咽喉科・頭頸部外科は、文字通り耳と鼻とのどを担当する診療科であり、頭側では頭蓋底、尾側は気管や甲状腺までの広範囲にわたる領域を担当しています。また、領域が広いだけではなく、花粉症、鼻出血、中耳炎、めまいなど、どなたでも一度は経験したことのあるような疾患の診療から、聴力や音声を改善する手術や頭頸部がんの治療など専門性の高い診療も行います。このように診療内容は幅広く、これらの内科的、外科的な治療すべてを担っています。
耳鼻咽喉科・頭頸部外科のもう一つの特徴は、5感と呼ばれる感覚機能のうち聴覚、嗅覚、味覚の3感と、平衡覚を担当する診療科であることです。さらに、生活の維持に必須である咀嚼・嚥下機能と、家族や仲間と会話を楽しむための音声・言語機能も診療範囲としています。これらの感覚器や重要な機能にまつわる様々な疾患に対して診断と治療を行い、我々の日々の生活におけるQOLの向上に携わっています。加えて、頭頸部領域における良性・悪性の腫瘍性疾患も取り扱いますので、これらの感覚器と生活機能の温存を目指しながら、腫瘍のコントロールを行うことが求められます。
近年の医療技術の進歩はめざましく、耳鼻咽喉科・頭頸部外科においても各領域、各疾患の診断および治療の技術も専門分化しています。当教室では130名に及ぶ教室員数があり、専門分化した各分野において最新の医療を提供できるようにエキスパートを揃えています。診療においては、それぞれ専門的な診療を行う医師と、看護師、言語聴覚士、臨床心理士と連携した「チーム医療」を行うが当科の大きな特色であり、専門技術を結集して患者さんの状態に応じた最適な診療を行っています。また、当教室には30を超える教育関連病院があり、地域貢献・社会貢献を行いながら、各施設で専門医が責任を持って若手医師の教育を行っています。さらに基礎研究や臨床研究にも力を入れており、定期的に海外に留学者を派遣しています。慶應義塾大学医学部耳鼻咽喉科・頭頸部外科学教室では、診療、研究、教育という医療における3つの柱をバランス良く発展させることを心掛け、国際化にも対応できる医師の育成を目指しています。
教授・診療科部長 小澤 宏之